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東京地方裁判所 平成9年(ワ)4345号 判決 1998年3月24日

原告

宮崎寿文

被告

浅野昌信

主文

一  被告は、原告に対し、金四七九八万九一四一円及びこれに対する平成二年一〇月三一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告は、原告に対し、八九五一万八二九一円及びこれに対する平成二年一〇月三一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用の被告の負担及び仮執行宣言

第二事案の概要

一  本件は、自動二輪車を運転中、交通事故に遭い、負傷した原告が、加害車両(四輪車)の運転者である被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。

二  争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実(以下「争いのない事実等」という。)

1  本件交通事故の発生

原告は、次の交通事故(以下「本件事故」という。)により、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、脳幹部外傷、脳室内出血、全身打撲等の傷害を受けた(甲二)。

事故の日時 平成二年一〇月三一日午後八時四五分ころ

事故の場所 東京都足立区本木一丁目二五番先、通称本木一丁目交差点路上(別紙現場見取図参照。以下、同交差点を「本件交差点」といい、同図面を「別紙図面」という。)

加害車両 普通乗用自動車(足立五八ま三五六七。被告運転)

被害車両 自動二輪車(練馬つ九九一〇。原告運転)

事故の態様 本件交差点を右折中の被告車両と対向車線を進行中の原告車両が衝突した。事故の詳細については、当事者間に争いがある。

2  原告の入通院経過と後遺障害等

(一) 原告は、主に次の各病院等において、入通院治療を受けた(甲二、九、一〇、弁論の全趣旨)。

帝京大学医学部附属病院

平成二年一〇月三一日から同年一一月二二日まで入院

平成七年一月一日から同年三月一日まで通院(実日数五一日)

敬愛病院

平成二年一一月二二日から平成三年四月一四日まで入院

平成三年五月二三日から平成五年一一月一六日まで通院(実日数一三日)

板橋中央総合病院

平成三年二月二一日通院

東京都立大塚病院

平成三年四月一五日から同年七月二五日まで入院

平成三年三月六日から平成七年二月二四日まで通院(実日数九一日)

愛誠病院

平成三年一一月二一日から平成四年二月八日まで入院東京都立北療育医療センター

平成五年五月一八日から同年六月二九日まで通院(実日数五日)

東京慈恵会医科大学附属病院

平成六年四月一五日から平成七年二月一〇日まで通院(実日数四日)

アサヒタワークリニック

平成六年三月一四日から同年九月二九日(実日数七日)

貴友会病院

平成五年一〇月一八日から平成六年五月一六日まで通院(実日数三日)

(二) 原告は、平成七年三月一日頭部外傷後遺症の症状が固定し、同年一〇月一三日自動車保険料率算定会新宿調査事務所により、自賠法施行令二条別表後遺障害別等級表(以下「後遺障害等級表」という。)上の七級四号(神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの)に該当する旨の事前等級認定を受けた(甲五、乙一八)。

3  責任原因

被告は、被告車両を所有し、これを自己のために運行の用に供していたものであるから、人損につき自賠法三条に基づき、また、前方不注視等の過失があるから、物損につき民法七〇九条に基づき、いずれも原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。

4  損害の一部填補

原告は、自賠責保険から二八〇万六三五五円の填補を受けた。

三  本件の争点

1  本件事故の態様(過失相殺)

(一) 被告の主張

本件事故は、被告が前方を注視して右折を開始し、本件事故当時、ほぼ右折を終えていたところ、原告が制限速度を三〇キロメートル上回る八〇キロメートルの速度で進行してきたため、発生したものである。

原告には、右の過失があるから、原告の損害額を算定するに当たっては、原告の過失を五〇パーセント斟酌すべきである。

(二) 原告の認否及び反論

原告車両の速度が八〇キロメートルであったとする点は、否認する。

本件事故は、被告が対向直進中の原告車両の速度や距離等の判断を誤り、漫然右折を開始したため、発生したものであり、被告の全面的過失によるというべきであるから、本件において過失相殺をするのは、相当でない。

2  原告の損害額

(一) 原告の主張

(1) 治療費 一五六万〇七〇〇円

(2) 付添看護費 一二七万六八八二円

(3) 入院雑費(一日一二〇〇円の三四一日分) 四〇万九二〇〇円

(4) 通院交通費 一九万一一八〇円

(5) 休業損害 一二五八万九三六一円

原告は、大学卒業後、訴外株式会社明治屋本社(以下、単に「勤務先」という。)に就職し、本件事故当時、同勤務先で稼働中の会社員であり、本件事故前三か月間に合計五八万二一七七円の収入を得ていたところ(一日当たり六四六九円)、本件事故により平成二年一一月一日から平成五年四月一五日までの八九七日間休業した。その間の休業損害は、賞与減額分(一六五万一三五三円)を含めて七四五万四〇四六円である。

また、原告は、本件事故を原因として退職を余儀なくされ、退職後、症状固定日までの六八六日間無収入であったから、右期間中の休業損害も、本件事故と相当因果関係のある損害というべきところ、原告の本件事故前給与を年収に換算し(二七三万二三四七円)、これを基礎にした、休業損害は、五一三万五三一五円となる。

したがって、原告の休業損害の合計は、前記金額となる。

(6) 逸失利益 五四一三万八三九四円

原告は、自賠責保険により後遺障害等級表上の七級四号に該当する旨の事前認定を受けているが、現在も右半身麻痺と歩行障害のほか、記憶力等の知的能力及び発語能力の低下や感情障害があり、時にはうつ状態に陥る状況であり、今後満足に就労することは極めて困難であり、原告の労働能力喪失率は、少なくとも七〇パーセントを下回らない。

原告は、就職二年目の、給与水準の低い時期に本件事故に遭ったものであり、原告が将来取得しうる収入は、平均賃金を下回るものではないから、原告の症状固定時(二八歳)の平成七年賃金センサス大学卒男子労働者二五歳ないし二九歳の年収額である四五四万四九〇〇円を基礎とし、六七歳まで三九年間の逸失利益をライプニッツ方式により中間利息を控除して算定すると、前記金額となる。

(7) 慰謝料 一五〇〇万〇〇〇〇円

(8) 物損(原告車両、レッカー代、メガネ、衣服、ヘルメット、グローブ)

合計一一五万八九二九円

(9) 弁護士費用 六〇〇万〇〇〇〇円

(二) 被告の認否及び反論

原告の損害額のうち、入院雑費、休業損害、逸失利益、慰謝料については、いずれも争う。

第三当裁判所の判断

一  本件事故の態様(過失相殺)について

1  前記争いのない事実等に、甲九、一三、乙一ないし四、八ないし一一、一二の1、2、一三、一五、一七、二〇、原告本人、被告本人、弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 本件事故現場付近の状況は、概ね別紙図面に記載のとおりである。

本件交差点(通称本木一丁目交差点)は、江北橋方面から西新井橋方面に向かう東西の道路(都道一一三号線。以下「都道」という。)と、これと接して西新井橋北詰に向かう道路(荒川土手側道。以下「側道」という。)とが交差する、信号機により交通整理の行われている交差点である(他に本木新道とも接している。)。

都道は、幅員一七メートル余(交差点から東側では一七・二五メートル、西側では一七・三五メートル)の片側二車線の道路であり、反対車線とは中央分離帯により明確に区別されており、その上部には、首都高速道路六号線(東京川口線)の高架が並行している。都道の最高速度は、五〇キロメートル毎時に制限されている。

側道は、幅員七・六メートルの片側一車線の道路である。

本件交差点に設置されている信号機は、本件事故当時、正常に作動しており、その視認を妨げるものはなかった。

都道の見通しは、加害車両進行方向、被害車両進行方向のいずれも前方及び左右の見通しは良好である。

本件交差点内各道路の路面は、いずれもアスファルトで舗装され、平坦であり、本件事故当時、乾燥していた。

本件事故後、都道上の路面には、被害車両進行方向に長さ九・八メートルのスリップ痕一条と、これと平行して長さ〇・六五メートルのスキッド痕が印象されていたほか、長さ〇・一メートルの擦過痕が認められた。

(二) クリーニング業を営む被告は、本件交差点の道路をよく通行し、道路の状況はよく知っていた。

被告は、本件事故当日、店から衣類を配達するため、加害車両を運転し、都道の第二車線を江北橋方面から西新井橋方面に向かい、時速約五〇キロメートルで進行中、本件交差点に差し掛かり、対面信号機が赤色を表示していたため、右折の合図を出して、別紙図面(以下、同図面上の地点を指す。)の<1>に停止し、その後、信号が青色に変わったため、<2>に進行し、再度停止して対向車両が通過するのを待っていた。

被告は、通過車両の流れが途切れ、次の直進車両まで距離があるように思えたことから、先に右折できるものと考え、再発進して時速約五ないし一〇キロメートルで進行し、<3>に進出したところ、左斜め前方約一一・五メートルの<ア>地点に発見し危険を感じたが、急制動する間もなく、×地点(加害車両は<4>、被害車両は<イ>)において、被害車両の前部と加害車両の左後部側面が衝突した。

本件事故の衝撃により、加害車両は半回転して<5>に停車し、被害車両は、左側面を下にし、転倒、滑走して<エ>に停止し、原告は、<ウ>に倒れていた。

加害車両は、本件事故により左後部側面フェンダーが凹損、中破した。

(三) 原告は、本件事故当時、同じ勤務先に勤める訴外石田尚子(以下「石田」という。)とドライブに行くため、石田を後部席に同乗させ、前照灯を点灯させた被害車両(排気量一〇〇〇シーシー。車両重量二四〇キログラム。走行中、重低音を発する。)を運転し、都道の第一車線を西新井橋方面から江北橋方面に向かい進行中、本件交差点に差し掛かり、加害車両を発見し、急制動を掛けたが及ばず、本件事故に遭遇した。

被害車両は、本件事故により前部が凹損大破し、走行不能となった。

原告は、本件事故当時の記憶がない。

(四) 被告は、本件事故当時、被害車両の速度が時速八〇キロメートル程度であったと主張し、これに沿う証拠(乙一一、一九)もあるが、乙一一は、本件事故前に加害車両が轟音を発していたことのみを根拠にして、暴走族ではないかと推測したに過ぎず、被害車両の速度についての具体的供述をしているわけでもなくその信用性に乏しい上、乙一九についても、証拠上、明らかでない事実をもとに推論を重ねているにすぎず、いずれも採用することができない。

そして、他に被害車両の速度を推認させる的確な証拠はないというべきところ、本件事故当時、原告は、被害車両に女性を同乗させており、制限速度を大幅に越えて進行していたとも容易に考えられないことから、概ね制限速度程度で進行していたものと推認される。

2  右の事実を基礎にして、本件事故の態様について検討するに、本件事故は、信号機により交通整理の行われている交差点を右折進行中の加害車両(四輪車)と対向直進中の被害車両(単車)との事故であるが、被告は右折に際し、本件道路は高速道路の高架下ではあるが、直線で前方左右の見通しがよく、対向車線を注視していれば、被害車両が接近しているのを容易に発見できたのにかかわらず、対向車両が通過したことから、右折できるものと軽信し、漫然、右折進行した点に過失がある(被告は、被害車両を左斜め前方約一一・五メートル地点に至って初あて発見しており、被告の安全確認が不十分であったことは明らかである。なお、被告は、本件事故当時、被害車両が死角に入っていたためその発見が容易でなかったと主張するもののようであるが、対向車両がある程度連なって進行することは、通常の事態であり、交差点を右折する車両の運転者としては、そのことを当然予期すべきであって、対向車両が通過したからといって安易に後続車両がないと考えることができないのはもとより、仮に、先行車両との関係で、死角が生じることがあり得るとしても、それを可能な限り解除するように努めるべきであって、被告がそのような努力をしたことを認めるに足りる証拠はないのであるから、いずれにしても、被告の主張は採用できない。)。

他方、原告としても、本件交差点に進入するに当たり、加害車両が右折の合図を出して待機していたのであるから、前方を注視していれば、その発見は容易であったものということができ、場合により減速等の措置をとることも可能であったのに、その発見が遅れたため(被害車両のスリップ痕が衝突場所の約九・八メートル手前から印象されており、同時点において加害車両は、既に都道の第一車線上に達していることからすると、原告の加害車両の発見が、ある程度遅れたものと認められる。)、本件事故が生じたのであるから、この点に過失がある。

そして、原告、被告双方の過失を対比すると、その割合は原告三〇、被告七〇とするのが相当である。

二  原告の損害額について

1  治療費 一五六万〇七〇〇円

当事者間に争いがない。

2  付添看護費 一二七万六八八二円

当事者間に争いがない。

3  入院雑費 四〇万九二〇〇円

甲二、甲九、一〇、弁論の全趣旨によれば、原告は、平成二年一〇月三一日から平成三年七月二五日までの二六八日間、帝京大学医学部附属病院、敬愛病院、東京都立大塚病院に順次入院した後、平成三年一一月二一日から平成四年二月八日までのうち、七三日間愛誠病院に入院したことが認められ(右合計三四一日)、入院雑費は、一日当たり一二〇〇円とするのが相当であるから、三四一日間で四〇万九二〇〇円となる。

4  通院交通費 一九万一一八〇円

当事者間に争いがない。

5  休業損害 九六七万一六七三円

甲九、一〇、一二の1ないし4、原告本人、弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

原告は、本件事故当時、勤務先の人事部において事務職に従事し、事故前の平成二年七月から同年九月までの三か月間に合計五八万二一七七円(一日当たり六四六八円)の収入を得ていたものであるが、本件事故により、事故翌日の平成二年一一月一日から勤務先を欠勤し、その後、休職扱いとなり、平成五年四月一日休職期間が満了したため、治療中ではあったが、勤務先を退職し、その間、欠勤及び休職中勤務先から給与の支給を受けず、平成七年三月一日症状固定となった。

右によれば、原告の休業損害については、本件事故の翌日から症状固定日までの一五八三日中、退職日までの八九七日については一〇〇パーセントを、その後の症状固定日までの六八六日間は未だ治療中であるものの、通院間隔も開いており、後記6の後遺障害の程度に鑑みても、その間原告が全く稼働できなかったものとは容易に認めにくいから、五〇パーセントを休業期間と認めるのが相当である(なお、右のとおり、原告は退職後も治療中であったから、症状固定日までの相当期間分については、本件事故と因果関係のある損害として補償するのが相当である。)。

すると、次式のとおり、八〇二万〇三二〇円となる。

6,468円×897日+6,468円×(1,583-897)日×0.5=8,020,320円

さらに、甲一二の1ないし4によれば、原告は、右欠勤及び休職により、本件事故に遭わなければ、得られたはずの賞与分合計一六五万一三五三円を得られなかったものであるから、右賞与減額分も本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。

すると、原告の休業損害は、右合計額である前記九六七万一六七三円となる。

6  逸失利益 四三三一万〇七一五円

前記争いのない事実等に、甲五ないし九、一四、乙一八、原告本人、弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 原告は、平成七年三月一日頭部外傷後遺症の症状が固定し、同年一〇月一三日自動車保険料率算定会新宿調査事務所により、後遺障害等級表上の七級四号に該当する旨の事前認定を受けた。

甲五(帝京大学医学部附属病院上妻英正医師作成の平成七年三月一日付け後遺障害診断書)には次の記載がある(なお、検査所見等の記載はない。)。

傷病名

頭部外傷後遺症

自覚症状

抑うつ、不眠、不安、食欲不振

他覚症状及び検査結果

感情障害、衝動行為等、また軽い妄想状態も出現し、他院に通院中であったが、平成五年になり、感情を抑えられなくなり、暴力行為も出現、当院受診。服薬等でなんとか落ち着いてはいるが、症状不安定でうつ状態等も時に出現、今後も通院治療が必要である。

原告の現在の日課は、午前中、東京都障害者スポーツセンターに行き、リハビリを兼ねた運動を行い(往復には、自転車を使用している。)、帰宅後、午後から家業の酒店の手伝いをして、店内や配達先での作業を行っている。

原告の現在の症状は比較的安定しているが、帝京大学附属病院を三か月に一回受診するほか、毎月一回精神安定剤の処方を受けて、継続的に一日三回服用している。

原告は、精神面、感情面での波があるほか、すぐに言葉が出てこないので、人前で話すことにもどかしさを感じており、また、記憶力が減退していることに不便を感じている。

(二) 右の事実をもとにすると、原告の後遺障害の程度は、中等度の神経系統の機能又は精神の障害のために、精神神経的な労働能力が一般平均人以下に明らかに低下しているものと認められるが、それを越えて、神経系統の機能又は精神の著しい障害のために終身にわたり極めて軽易な労務のほか服することができない、とまでは認められず、自賠責保険の事前等級認定と同様、後遺障害等級表上の七級四号に該当するものと認められ、原告の労働能力喪失率は、五六パーセントと認めるのが相当である。

(三) 原告は、平成元年三月大学を卒業し、勤務先に就職し、平成元年度に二〇四万九二六〇円、本件事故前三か月間に合計五八万二一七七円の収入を得ていたものであるが、就職二年目の未だ給与水準の低い時期に本件事故に遭ったものであり、原告が将来取得しうる収入は、統計上の平均賃金を下回るものではないと推認されるから、逸失利益算定の際の基礎とすべき収入としては、原告主張どおり、原告の症状固定時(二八歳)の平成七年賃金センサス大学卒男子労働者二五歳ないし二九歳の年収額である、四五四万四九〇〇円とするのが相当である。

そして、前記のとおり労働能力喪失率を五六パーセントとして、二八歳から六七歳まで三九年間の症状固定時の逸失利益の現価を、ライプニッツ方式により中間利息を控除して算定すると、次式のとおり、四三三一万〇七一五円(一円未満切捨て)となる。

4,544,900円×0.56×17.0170=43,310,715円

7  慰謝料 一〇七〇万〇〇〇〇円

原告の傷害の部位程度、入通院期間、後遺障害の内容程度、その他本件に顕れた一切の事情を総合斟酌すれば、原告の慰謝料としては、入通院慰謝料として三〇〇万円、後遺障害慰謝料として七七〇万円の合計一〇七〇万円とするのが相当である。

8  物損 合計一一五万八九二九円

当事者間に争いがない。

9  小計 六八二七万九二七九円

三  過失相殺

前記一2の過失割合に従い、原告の損害額から三〇パーセントを減額すると、その残額は、四七七九万五四九六円となる。

四  損害填補

原告が自賠責保険から二八〇万六三五五円の填補を受けたことは、当事者間に争いがないから、右填補後の原告の損害額は、四四九八万九一四一円となる。

五  弁護士費用

本件事案の内容、審理経過及び認容額その他諸般の事情を総合すれば、原告の本件訴訟追行に要した弁護士費用としては、三〇〇万円と認めるのが相当である。

六  認容額 四七九八万九一四一円

第四結語

以上によれば、原告の本件請求は、四七九八万九一四一円及びこれに対する不法行為の日である平成二年一〇月三一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 河田泰常)

現場見取図

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